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by shime4649
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ネタバレDVD鑑賞記「闇の子供たち」

裏話・裏事情などの本が好きな私は、この映画には「そういうこともあるさ」と、驚かなかったのですが、
最後に明らかになる事が一番ショックでした。

興味のある人はどうぞ → 「闇の子供たち」映画公式サイト

ネタバレするあらすじ・・・これから観ようという人は読まない方が・・・

舞台は、タイ。
タイの山岳地帯に住むヤイルーンセンラーの幼い姉妹は、実の親に売られてバンコクの売春宿(おもに
外国人富裕者相手)で売春をさせられている。その後、ヤイルーンはエイズを発症し、黒いゴミ袋に
入れられてゴミ収集車に投げ込まれてしまう。運よくゴミ袋から脱出したヤイルーンは、瀕死の状態で
故郷に戻ってくるが、親たちは彼女を小屋に放置する。間もなくヤイルーンは亡くなり、火葬される。
一方、妹のセンラーは、日本人男児の心臓移植のドナーとして、病院に連れて行かれてしまう。

日本からボランティアでNGOの児童福祉センター(?)に来た恵子(宮崎あおい)は、世間知らずな
お嬢様っぷりと、すぐ熱くなる性格で、いろいろと空回りしながらも、一生懸命生活している。
新聞社のタイ駐在員南部(江口洋介)は、児童売買春の取材をするうちに、児童の心臓移植のドナーが
「生きたまま心臓を取られる」という人身売買の情報を掴み、恵子がいるセンターにも情報を求めに来る。
その頃センターでは、一人の女児が行方不明になっており、センターに届いた救助を求める手紙の
文字が彼女のものであると確信し、売春宿を捜索しようとしていた。彼女は親に売り飛ばされたのである。
しかし、現地のNGOのゲーオを頼って売春宿を捜索するも、感づかれて一旦は退去する。
あきらめずに売春宿を張っていた恵子は、大きな黒いゴミ袋がゴミ収集車に入れられるのを見て
追いかけ、袋に入っていた女児の救出に成功。エイズを発症した女児を病院に入院させる。

舞台は日本。
タイで子供に心臓移植手術を受けさせる日本人夫婦(佐藤浩市、鈴木砂羽)をつきとめた南部は、
情報提供者清水(豊原功輔)、恵子と共に彼らの自宅に乗り込み、取材を強行しようとするが、
心臓移植を止めようと感情的になった恵子の言葉に、妻は泣き崩れ、取材は失敗。
タイに戻った南部は、いろいろな手を使って移植手術の日とドナーが病院に来る日を予想し、
隠し撮りをして捕まっていたカメラマン与田(妻夫木聡)を釈放させ、ドナーの写真を撮るよう依頼する。
作戦はうまくいき、ドナーであるセンラーが病院に連れてこられた場面を撮ることができた。

NGOの女性リーダーが「児童売買春に抗議する集会」への参加を住民に呼びかけ、大勢の住民が
広場に集まってくる。その中にはゲーオの姿もあったが、彼はマフィアの手先であり、NGOに
潜り込んでいたスパイであった。銃を発砲しまくるゲーオ、逃げ惑う民衆、撃たれる警官・・・。
そこに、心臓移植のドナーの写真を撮り終えた南部が通りかかる。幼い男の子にしがみつかれて
叫び声をあげて地面に伏す南部。彼の脳裏には、男の子の腕を掴んで歩いていく自分の姿が
はっきりと蘇っていた。

手土産を持って南部の部屋を訪れた与田は、自殺している南部を発見する。
南部の部屋で、清水と共に遺品整理をしていた与田は、幕がかかった場所を見て怪訝に思う。
幕をはずすと、幼児性愛者逮捕という新聞記事の切り抜きがたくさん貼られており、
なぜか真ん中に鏡が付けられているのだった。

※映画では内容の順番が前後しています。


感想

はじめは「ノンフィクション」ということで宣伝されていたけど、臓器移植に関することなどが事実と違う
ということで、「フィクション」扱いになったそうです。でも、まんざらフィクションばかりでもないかと・・・028.gif

児童の売買春、人身売買がテーマなので、どうしてもおぞましいシーンはたくさん出てきます。
(子役には、大人の裸を見せないように配慮して撮影したそうです)
ヘンタイ日本人も出てきて、買春ツアーという言葉も頭をかすめます。
実際、タイを旅行した時にホテルのエレベーターでそれらしき人たちと乗り合わせてしまい、
イヤ~な気分になったこともありました。

それにしても、誘拐より怖いのは、実の親が子供を売り飛ばしてしまうことですね。
子供がどんな目に遭うかわかっていても、貧困のためにそうせざるを得ないのが悲しい。
せめてもの救いは、ヤイルーンを火葬するときに母親がしゃがみ込んで泣いていたことかな・・・。
あと、センラーを病院に連れてきた男が、「今日の服はかわいいよ」と、何も知らないセンラー
言っていたのは胸が詰まりました。何度かフラッシュバックされる映像で、この男も性的虐待を
受けて育ってきたらしいことがわかりますが、エイズで死なずに無事に大人になれたのは運が良いと
言うか・・・。
タイに限らず、日本でも親が娘に援助交際をさせてたという事件を聞きますね。
子供を金づるにするような親元に生まれなくて良かったとつくづく思います、私。

宮崎あおいちゃんは、若くて、青くて、熱~い女の子の役を演じていました。タイに来た動機は
自分さがしだったのかもしれませんが、命がけで子供の命を救おうとするくらい、真剣に活動に
打ち込むようになります。日本人に嫌悪を感じるような過去を持つ同僚とも、打ち解けることが
できました。彼女の活躍はNGOの女性代表の毅然とした態度と共に希望の象徴とも取れます。

そして、一番ショッキングだったのは、江口洋介演じる南部です。劇中、時々フラッシュバックされる、
男の子の手をひいて歩いている南部の姿。はじめは、虐待されていた男の子を救いだしたのかと思って
いましたが、だんだんと首をもたげる疑惑・・・それは最後のシーンで確信へと変わります。
南部は幼児性愛嗜好であり、買春をしていたのだと。彼の部屋にあった写真には男の子が写って
いたのですが、彼には娘しかいない。きっと、彼のお気に入りの男の子だったのでしょう。
そして、新聞記事の切り抜きを貼った場所にあった鏡。それはまさしく、自分も幼児性愛犯罪者の中の
一人であるという罪悪感を感じるために置いたという解釈をしました。

南部が自殺している映像はなく、茫然としている与田の姿と、天井から下がったロープが揺れている映像だけで表していたのですが、自責の念からの自殺だと思いました。最後は、不思議そうに鏡をのぞきこむ
与田と清水の顔で終わるのですが、彼らは南部の心の闇を理解できたのでしょうか・・・。

売る親がいれば、買う大人がいる。根絶は難しいと思いましたが、映画にすることで
大いに問題提起になったと思います。
それにしても、マフィアに消されずによく取材できたな、こんなテーマ042.gif
by shime4649 | 2009-12-15 21:57 | 映画を見よう